トイレ介助は、介護の中でも特にデリケートな仕事である。よく起こりがちな問題として、介助するうちに知らないうちに高齢者を傷つけていることが挙げられる。これまで誰の手も借りずスムーズに排泄を行えていたのに、老化や病気により介助者の手助けがいるというだけでプライドは傷つくものだ。また、トイレ介助の際に介護士が嫌な顔をしたり、排泄に失敗した時に叱責するなどして、本人を追い込むケースもある。そうなると、排泄そのものが嫌になって我慢しがちになり、身体を壊しやすくなる。
身体を壊しやすくなるだけでなく、人間不信に陥って生活そのものがスムーズにいかなくなってしまう。高齢者の尊厳を守るためにも、トイレ介助の際は責めるような言葉は使わず、排泄が上手にできたら共に喜ぼう。これと別の問題では、水分補給をしないことが挙げられる。失禁してしまったり排泄がうまくできないことが続くと、排泄自体の回数を減らそうとして水分をとらなくなるのだ。水分不足によって脱水症状や便秘など排泄への影響が出てくる。
水分不足の状態では、体温調節ができなくなったり筋力が低下するなど全身にも悪影響を及ぼす。このように、水分不足は排泄だけではなく生命にもかかわるため、水分補給をこまめに行わなければならない。トイレ介助を行う時は、排泄のタイミングを見計らうとスムーズにできる。例えば起床後や就寝前、食事の前後など、何か物事を行う時にトイレも済ませるようにすると覚えやすくなる。本人も排泄の習慣ができると失敗を減らせるのだ。